公信245号

数年前に、日本の国民健康保険のような、NHIF(ナショナル・ヘルス・インシュアランス・ファンド)という制度が始まりました。月額の数百円(数百シリング)が払えない、手続きをしてから3か月しないと利用できない(例えばその間に事故にあったら全額負担となってしまう)、医師の手紙などで審査されないと適応されない、などの声がありつつも、利用できる患者さんにとっては全額負担とならないことはとても大きな助けになります。早期治療にもつながります。
 保険が使える病院になるための審査もたびたびあり、一定の水準を保とうとするための、良い意味でのプレッシャーも発生します。保険を使うならばこの資材を使う事、等の不自由さが発生することもありますが。
 患者さんが一部負担分を支払い、NHIFが残りを支払って、病院は「全部」を受け取ることになります。その中から、前もって購入した糸針などの医療用品、薬剤、スタッフの給与などが支払われるのです。
 ところが、NHIF等が支払う分の遅れ、未払いが続いて、今や億単位の赤字となっています。テヌウェク病院だけでなく、多くのミッション病院が同じ問題を抱えています。昨年、NHIFはSHAという制度に移行しましたが、SHAからも早くも未払いの累積が報告されています。

テヌウェク病院の場合、一部負担分等も払えず、払えるまで退院できない「ディスチャージ・イン」と呼ばれる患者さん方もおられます。テヌウェク病院の受け入れる救急の割合は、一頃47パーセントと言われていましたが、最近は67パーセントだそうです。そうした救急で運ばれた方々にはベッドがすぐに必要です。病院がいっぱいになってしまうと、残るは支払いだけ、身体的にはとっくに退院しているはずだった「ディスチャージ・イン」の方々に、「いついつまでに支払います」と念書を書いて頂いて、御帰宅いただき、ベッドの場所を作ることがあります。その後支払われる場合とそうでない場合があり、これも赤字問題の一因となっているという事です。
 その結果、薬剤、医療資材などが不足し、思うように手当てが出来ない状況です。今までもたびたびありましたが、医療品会社も、「前回までの支払いが終わるまでは、今回ご注文の品はお届けできません」と、出荷を凍結しています。何社かは「緊急性を考えて患者さんのために」と、特例として放出して下さることもあるのですが、それでもいつまでも未払いというわけにもいきません。変な話、スタッフ用トイレのペーパーも1か月近く不足し、手術室周辺だけでも、と我が家の備蓄を少しずつ持ってきてしのいだこともありました。
 先日のお祈り会で、紅海とエジプト軍に挟まれたイスラエルの民が盛大に文句を言っていたことが引用され、「この大きな危機の時、彼らのように文句を言うのか、それとも、神様がどんなことをして下さるのか(この時は紅海が二つに割れて通れるようになりました)ワクワクするのか。希望があるよね?」と問いかけがされ、会場のスタッフも「イエース!」と答えていました。病院の必要が満たされますようにお祈りください。

感染予防をきっかけに始まった手術室の改築ですが、予定が2週間ほど遅れています。ンゲティッチビルディングと呼ばれる、いくつかの病棟が入った建物に、石綿(アスベスト)が使われていたためです。指摘は数年前にあり、日本と同じく昔は重用していたものが、今は健康被害を起こすとして違法となっていますので、早急に除去しなくてはなりません。そこまで来たところで、請け負う事の出来る人たちがいるのかどうか、探したりするのにしばらくかかっていました。ようやく業者が見つかってアスベストを取り除き、鉄のシートに置き換える作業が、約2週間ほど続きました。工事中は立ち入り禁止なので、内部の病棟は別の場所に引越す作業が週末を使って行われました。
 その作業に関わっていなかったのに、最初の一週間の月曜日に目が覚めたらのどが腫れてほとんど声が出なくなっていました。咳や筋肉痛、胸痛、透明な鼻水など、諸症状が一通りそろっていたので、主任に携帯メールを送ってお休みをいただき、結局一週間自宅療養となりました。一週間でほぼ症状が治まり、その間に遅々としながらも宿題が一つ片付いて感謝でした。

【祈祷課題】

1.アスベストの撤去が無事に終わり、手術室の改築が進行している感謝
2.病院の経済の必要が満たされるように
3.病院の働きが福音のために用いられ、働き人(ルカ10:2)が起こされ用いられるように